骨粗鬆症とは、骨密度(骨量)の低下や骨の質(骨質)の悪化により、骨の強度が低下し、骨折をおこしやすくなっている状態、もしくは骨折をおこしてしまった状態です。
日本における患者数は約1280万人(女性980万人、男性300万人)とされています。閉経後の女性に多い病気ですが、生活習慣との関連もあり、男性や若い女性にも注意が必要です。
骨粗鬆症における骨折の多くは転倒によっておこります。骨折・転倒は「要支援や要介護が必要となった原因」の13.9%を占めており、近年増加傾向となっています。(厚生労働省 令和4年 国民生活基礎調査)一度骨折をおこすと次の骨折をおこしやすく、寝たきりとなるリスクが高いにもかかわらず、治療率は20%程度と低い現状です。骨折、寝たきりの予防のために積極的な治療が必要と言えます。
近年では様々な治療薬が開発されており、骨密度の増加や骨質の改善効果を認め、健康寿命の延伸が期待されています。
いつのまにか骨折に代表されるように痛みなど目立った症状がなく、初期症状に気づきにくい特徴を持っています。そのため啓発活動を含め、必要に応じて検査をすることが重要です。
※転倒などの軽微な外力により発生しています。(脆弱性骨折)
骨粗鬆症の診断には骨密度測定をおこないます。
当院ではDXA(デキサ)法(Dual-energy X-ray absorptiometry)にて骨密度測定と診断をおこないます。
DXA法は超音波などの方法に比べ、精度が高く正確で痛みもなく短時間で終了します。測定部位は腰椎(背骨)と大腿骨(足の付け根)です。被ばく量が極めて少なく(胸部レントゲンと比較し、1/6程度)ですぐに検査結果がでるのも特徴です。
すでに大腿骨近位部骨折もしくは脊椎椎体骨折がある場合には検査の値にかかわらず骨粗鬆症と診断されます。
(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015)
骨粗鬆症治療には薬物療法による継続した治療が必要です。
内服、点滴、注射と選択肢があり、その方に適した治療法を選択していきます。
薬物療法に加え、栄養療法、運動療法も重要です。
リエゾンとは「連携、連絡、つなぎ」と訳されるフランス語です。骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)とは、医師および他職種のメディカルスタッフが相互に連携しながら実施する骨粗鬆症予防と改善および骨折防止の取り組みのことです。
当院の骨粗鬆症リエゾンチームが提供している骨粗鬆症リエゾンサービスとは『骨粗鬆症の予防と改善、骨折の防止』を目的とした取り組みです。医師や看護師、リハビリ、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカー、医事課がお互いに連携を取りながらチームとして活動しています。骨粗鬆症治療の継続には地域医療連携が重要とされています。入院、外来に限らず、近隣のクリニックと連携し、骨粗鬆症治療の継続を支援します。この取り組みで地域の皆様がいち早く骨粗鬆症に対する適切な治療を受けられたり、適切な治療を継続できるように働きかけています。