当院の脳卒中センターは、一次脳卒中センター(Primary Stroke Center: PSC))に認定されており、24時間7日の体制で診療に対応しています。脳神経外科、脳神経内科がセンター長 山本直樹 を筆頭に共同で診療にあたっています。
血管内治療では日本脳血管内治療学会認定の専門医、血栓回収施行医が対応し、開頭術では日本脳卒中の外科学会認定の技術指導医、認定医が対応しています。医師はもとより看護師、放射線科技師、薬剤部、事務担当者がチームを組んで発症予防、超急性期の治療•看護、リハビリテーションから退院支援に至るまで総合的に診療にあたっています。
北河内2次医療圏南西地域から大阪市内、摂津までの広域にわたる半径 5−7km圏内の脳卒中症例に対して1次・2次救急から高度な外科的治療までも行うことができます。この地域での脳卒中治療の包括的な役割を果たしていきたいと考えています。
脳卒中(脳血管障害)を大きく分けると、虚血性脳卒中(ラクナ梗塞、アテローム性脳血栓症、心源性脳塞栓症、一過性脳虚血発作・他)と出血性脳卒中(くも膜下出血、脳内出血•他)
症状:頭痛、嘔吐、意識障害
症状:頭痛、嘔吐、意識障害、局所神経障害
脳卒中の原因となる動脈硬化の危険因子をコントロールすることが主眼となります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肥満、メタボリック症候群などの生活習慣病や不整脈(特に心房細動)を、内科、循環器内科と協力して診療しています。頭部MRIや頸動脈超音波検査などで脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血の発症リスクを評価して、しかるべき対策を行なっています。
脳梗塞の二次的発症予防には上記に述べた動脈硬化の危険因子をコントロールすることに加えて抗血小板療法、抗凝固療法を行います。具体的には前掲の図にあるように血管閉塞の病因によって使い分けられています。
超急性期治療としては発症から 4.5時間以内には血栓を溶かして血流を再開させる治療(t-PA静脈療法)、血管内治療によって血栓を取り除き血流を再開させる治療(血栓回収術)を行います。これらの治療適応のない症例には抗血栓療法(血栓が出来にくくする)を行なって、症状の悪化、2次的発症を予防します。さらに全ての脳卒中患者さんに対して急性期からリハビリテーションを行なって早期回復、退院支援を行います。
脳卒中治療は時間との戦いです
Time is Brain!!
クリニックの先生方、 救急隊、 患者さんとその家族へ
脳卒中かと思えば、 かかりつけ医、病院、 圏域関係なく!
循環器系疾患/他も含めてご連絡ください
様子を見ることなく、即当院へご連絡ください。
すぐに救急車を呼んで守口生野記念病院へ!
発症、あるいは最終未発症確認から6時間以内の脳梗塞に対して、適応基準を「満たした症例に対してはカテーテルという細い管を用いて血管内治療を行います。また、さらなる適応基準を満たした症例に関しては、16時間、24時間以内の症例であっても血管内治療を行うことがあります。
(J NeuroIntervent Surg 2015.7.2-7から転載)
65歳女性:意識障害、左片麻痺、心原性塞栓症、rt-PA投与とともに脳血栓回収療法
2020.4.1〜2021.10.15 34症例
年齢:77.3±12.7 歳、性別:男性 50%
結 果 | ||||||
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発症機序 | 心原性 | 50.0% | ||||
アテローム血栓性 | 26.7% | |||||
その他 | 23.3% | |||||
カテーテル誘導困難 | 30.0% | |||||
時間 | 発症~来院 | 144±521分 | ||||
来院~頭部CT | 23±38分 | |||||
来院~tPA | 67±26分 | |||||
来院~カテ治療開始 | 78±53分 | |||||
治療時間 | 64±42分 | |||||
発症~治療終了 | 331±222分 | |||||
治療成功 | 93.3% | |||||
3か月後の予後良好 | mRS 0-2* (3) | 34.5% (63.6%) |
来院から治療開始までの時間、3ヶ月後の治療結果は他の包括的脳卒中センターと比べても遜色のない結果です。治療成功例は 93.3% と高い水準に達しています。
脳梗塞の急性期治療後、速やかに発症原因を精査、それらに対する治療を行います。脳梗塞の発症原因は様々で、代表的な疾患として、頸動脈狭窄、脳動脈狭窄、心房細動などがあります。これらに対して薬物治療を中心とする内科的治療、およびカテーテル治療や手術といった外科的治療を検討し、最適な再発予防治療を提供します。
代表的な外科的治療法として、脳血管内治療(カテーテル治療):頸動脈ステント留置術、頸動脈内膜剥離術、動脈瘤コイル塞栓術、開頭クリッピング術を紹介します。
頸動脈の狭窄によって脳への血流が減少したり、血栓が剥がれて末梢へ流れて脳塞栓となり脳梗塞の原因となります。3D-CTA, 脳血管撮影、MRI、超音波検査によって、狭窄率や血栓(プラーク)の性状を検討して治療適応が決定されます。保存的治療としては抗血小板療法です。外科的治療を下記に示します。
内頸動脈狭窄症は、脳へ血液を送る内頸動脈が動脈硬化などが原因で内腔が細くなって血流が障害されるため、脳梗塞を起こすことがあります。すでに脳梗塞を発症した症例、または今後脳梗塞を発症する危険性が高い症例に対に対しては頸動脈ステント留置術か頸動脈内膜剥離術を行います。
動脈瘤の治療:適応がある症例では72時間以内に行う。開頭手術もしくは血管内手術を行う。
動脈瘤に対して、脳血管内治療(カテーテル治療)でコイルを動脈瘤内部から埋め立てる治療(コイル塞栓術)あるいは開頭を行なって動脈瘤にまで達して手術顕微鏡下に動脈瘤を直接クリップによって塞ぐ治療があります。
守口生野記念病院では、脳神経系、心血管系疾患、ロコモーティブシンドロームの急性期治療に注力
感染症患者さんも感染対策のもと、受け入れ、治療行っています